ホイスラー合金を用いた強磁性トンネル接合のデバイス応用の展望

摘要

ホイスラー合金は、組成によっては非常に大きなスピン分極率を有するものがあり、理論的には100%分極しているというものも提案されている。したがって積層薄膜内でこのスピン分極率を維持できれば、大きな磁気抵抗効果を有する素子を作製することも可能であるとの期待から、ホイスラー合金を用いた巨大磁気抵抗素子、強磁性トンネル接合に関する研究が盛hに行われてきた。本研究は大きな磁気抵抗効果を有する強磁性トンネル接合を用いた磁気センサの開発に関するものである。特に、高感度を必要とする対象として生体磁場があげられる。生体磁場の測定には、磁気センサの中で最も高感度であるSQUID が現在は使用されている。しかしながら、装置の大きさ、コストおよび維持費の観点からみて、現実的に医療現場に普及させるのは非常に厳しい。一方、強磁性トンネル接合素子は、室温で動作し、コスト、維持の観点からみても優位性を持つ。本研究では、高いトンネル磁気抵抗比が期待されるCo_2FexMn1-xSi(CFMS)ホイスラー合金を用いたMTJ 素子を作製し、そのセンサ特性を評価した。