EELS スペクトラムイメージと第一原理計算を用いた水酸化アパタイト形成能を示す金属 Ti 表面酸化層中の窒素の化学状態

摘要

Tiは人工関節等生体材料に利用されているが骨と直接接合せず周囲の骨への長期的な定着が不安定であるという問題を抱えている。この為Ti表面に優れた生体親和性を持つ水酸化アパタイト(HAp)の形成を促進させる手法の試みがなされている。Ti試料を酸素分圧10-14 Paの窒素ガスフロー下で加熱処理することで試料表面に形成されたルチル型TiO_2のスケール層は微量の窒素(以下N)を含hでおり、大気中酸素分圧104 Paのもとで加熱処理した場合に比べ試料を擬似体液(SBF)に浸した時のHApの形成能が非常に高いと報告された[1]。本研究ではHAp形成におけるNの役割を明らかにすることを目的とし第一原理バンド計算を用いたN-K端ELNESの理論スペクトルと実験的に取得されたEELSスペクトルとを比較し、Nの化学状態の検討を行った。