日本統治期における台湾?宜蘭巿公設市場の空間構成と街区形成過程に関する復原的考察

摘要

宜蘭市において日本統治期早期に建設された公設市場は「ェ字型」の平面形式をもつモニュメンタルな建築意匠で駅前通（現?光復路）のヴイスタを形成し近代都市の空間志向を表象する重要な都市核として位置づけられていたと考えられる。昭和10年代の新たな市区計画道路の開鑿により市場街区は南北に分断されることとなるが、これは旧南門外の新たな行政区域の発達に対応した交通網計画の中で、南北の大街（現?中山路）と駅前通（現?光復路）を連結することが最重要視された結果と言えるだろう。つまり都市計画における公設市場の地位は相対的に低下したとみることができる。