ディンプルにおけるキャビテーションのその場観察と油の再流動に関する考察

摘要

近年，宇宙機の機構部品には長寿命および低擾乱が要求されている．宇宙機では微量の油やグリースで潤滑された転がり軸受を使用しており，転がり嬢労により長寿命化に限界がある．動圧流体軸受は潤滑油を介して軸と軸受は非接触で運転されるため油の劣化·損失が少なく，理論上は寿命が無い．擾乱に関しても地上のスピンドルモータで転がり玉軸受と比較した低擾乱の美顔を有しており，前述した宇宙機の長寿命·低擾乱化実現への要求を満たす．油潤滑の動圧流体軸受の特性は，大気中について数多くの実験·解析が行われているのに対し，真空中での軸受特性に関する研究は少なく，詳細な特性解明が必要である．真空環境下ではキャビテーション圧力と周囲圧力の羞圧が減少するため，潤滑面へ油の再流動が生じにくくなり軸受特性に大きな影響を及ぼすと考えられる．本報ではディンプルを付与した油潤滑のスラスト軸受を，大気および真空環境下で作動させ摩擦トルクを計測すると同時にしゆう動面をその場観察する．実験と数値解析の結果から周囲圧力とキャビテーション挙動の関係について調べ，ディンプル周辺における油の再流動について考桑する．