電流と磁場の相互作用を利用した新しい加工法の開発研究―小型電磁コイルを工具とした加工法の提案

摘要

本研究は，平面状の小型電磁コイルを工具とした新しい加工法を提案し，従来の加工法では加工できない，閉ざされた狭い箇所（例えば，金型加工，隙間加工など）の精密加工を実現することを目的としている．小型電磁コイルに電流を流すと，コイル先端に磁場が発生する．通電する電磁コイルを磁場中に置くと，吸引或は反発の電磁力を受ける．外部磁場と電磁コイルに流す電流の様々な組み合わせにより，電磁コイルに作用する電磁力の方向と強さを制御できる．外部磁場を変動磁場にすれば，電磁コイル工具が振動工具になることにより閉ざされた箇所の振動加工が実現できる．本報では，加工装置を製作し，プレーナコイルに電着ダイヤモンドシートを貼り付けることよって小型電磁コイル工具を作った．また，変動磁場中におけるプレーナコイルの動きを観察するとともに，アルミニウム合金板を工作物として，研磨加工実験を行った．