上流移動する砂州について

摘要

直線河道に形成される砂州は一般に下流に移動するが，近年上流に移動する場合があることが示唆されてきた．本研究では，上流側に移動する砂州に関する数値計算を行い，そのメカニズムに関する一考察を行うものである．直線河道において比較的水路幅‐水深比が大きくなる範囲の流量変動を繰り返し作用させた場を設定し，数値計算により砂州の動態を計算した．その結果，計算初期には下流に移動する砂州が形成されるが，計算が進むにつれてより波長の長い砂州へと変化し，その過程で非常にゆっくりと上流側に砂州が移動することを示した．この上流側へ移動する砂州のメカニズムについて，河床形状と流砂量間の位相差の観点から議論した．