来館目的と利用行動からみた複合公立図書館の利用実態に関する研究　その1: 近年の複合公立図書館の機能構成と運営方針について

摘要

本報では、近年の複合公立図書館の機能構成と運営方針について以下のことを明らかにした。1) 複合施設の機能構成として、文化・学習施設を中心とした社会教育施設と飲食店を中心とした商業・産業施設との複合化がその多くを占め、これらの施設は1 館中に複合する機能も他に比べ多いこと、2) 運営方針では、課題解決指向型のうちレファレンス機能の充実と地域の情報拠点としての位置付け、滞在指向型のうち居心地のよさや複合施設との連携、交流の場としての位置付けが重視されていること、3) このうち、特に直営方式の図書館では、地域の情報拠点としての位置付けが顕著であり、図書館の運営を通した地域貢献を重視する姿勢がうかがえること、4) 特に指定管理者方式の図書館では、居心地のよさと複合施設との連携が顕著であり、空間的・経済的な制約の中で複合化のメリットの活用と空間づくりの工夫が行われていることがうかがえること。