「立地適正化計画」を活用したみなとまちづくりに関する研究: 北海道室蘭市における市民意識から捉えた地域構造に着目して

摘要

以上より，室蘭市において，都市機能誘導区域が市民の生活行動の中心的な役割を果たしている実態が把握できた．中でも「中央地区」は，港湾資源が「室蘭らしい事物」として市民に認知されており，生活行動と室蘭港への意識が重なる地区であることが捉えられた．これより，「中央地区」は「立適」を活用したみなとまちづくり実現の可能性が高い地区といえよう．しかし，臨港地区に着目すると，生活行動との重なりが見られなかったため，地区内の港湾資源を活用し，臨港地区へと生活行動を促すことがみなとまちづくり実現に向けた今後の課題となることを明らかとした．他方，「中島地区」では本市を特徴づける地域資源が見られなかったため，本市が有するすり鉢状の地形を活かし高台視点場を設けるなど，室蘭港への眺望を演出することで本市民と港湾エリアを意識的につなぐことが，みなとまちづくり実現に向けた一手法になると考える．