長崎の主要なイネ2 品種(ヒノヒカリ,にこまる)の成長、収量および玄米の品質に対する高濃度CO_2 の影響とその品種間差異

摘要

産業革命以降、化石燃料の大量消費に伴って大気中のCO_2 濃度は上昇を続けている。一般に大気中のCO_2 濃度の上昇は植物の葉の純光合成速度を促進し、成長や収量を増加させる。一方、高濃度CO_2は葉の気孔閉鎖を引き起こして蒸散速度を低下させるため、植物体の温度を上昇させることが考えられる。このような植物体温の上昇は、気温が高い育成環境では高温障害を引き起こす可能性がある。日本の主要な農作物であるイネ(Oryza sativa L.)は高温によって玄米の品質が低下するなど、高温障害が発現しやすい。そこで本研究では、日本の中で比較的気温が高い長崎において、主要なイネ2 品種を対象に、その成長や収量および玄米の品質に対する高濃度CO_2 の影響を明らかにすることを目的とした。