超々高強度フェールセーフボルトを用いた摩擦接合部の性能評価 その１　フェールセーフ鋼のせん断荷重下での破壊特性

摘要

現在利用可能な高力ボルトの中で最も強度の高いものはF14T(Fu=1400N/mm2) であり，材料強度がこの値よりも大きい場合には高力ボルトの遅れ破壊の発生が懸念されるため，実用には至っていない．木村ら1),2) は，耐遅れ破壊特性に優れた鋼材を開発し，さらにこの温間成形技術を確立することで従来にはない概念の超々高強度ボルト（1800N/mm2級）を開発している．この鋼材をフェールセーフ鋼と呼び（以下，FS 鋼とする），このボルトをフェールセーフボルトとそれぞれ称している．木村らが開発したフェールセーフボルトは，超微細な繊維状の金属組織に起因して引張荷重作用下では木を引きちぎったときのような破壊形式を示し，破断しにくい特徴を有している2)．本研究では，このFS 鋼のせん断荷重下での破壊特性を実験的に確認する．